CLAMP伊那のインスタグラムをフォローしていただいている方はこんなストーリーズを見たことがあるかも。

サブリミナル的に、皆の脳裏に焼き付けるために自転車を組み立てる際、このシチュエーションが来たらたまにインスタにUPしてます。(最近上がってないですね。すみません、作業はしてます。)

で、これは一体何なのか。何をしているのか?ってことが今日のテーマなんですけど。

これはBB(ボトムブラケット)の“フェーシングとタッピング”と言う作業をしています。

なぜこの作業をしているところをわざわざインスタにUPしてるの?と思いますよね。

これ、自転車を組むにあたり、かなり重要な作業だと僕は思ってるんですけど、この作業をやらずに組まれて販売されてる自転車が多いってのが正直なところです。

経験上、多くの”プロショップ”と呼ばれるスポーツタイプの自転車を専門に販売されてるお店は、間違いなくこの作業をしているかと思いますが、一般車から低価格帯のスポーツバイクの完成車メインのショップ(ルック車含む)、量販店やホームセンターでは、ほぼこの作業はされていないと言って良いでしょう。(やってるとこもあります!!リスペクト!!)

では何故この作業が大切なのか。

自分がCLAMPのメカニックとして、お店にたつ前に試乗車で組まれていたバイクの再組み付け、整備を本日していたのですがそのフレームが”フェーシングとタップ立て”の作業が行われておらず、このまま気付かず作業をしていたらフレーム自体を壊してしまうところでしたよって話を。

まずはこちら。

取り付けられていたBBを外そうと思ったらなんか渋い。

「あ〜嫌な予感するわー。」(嫌な予感のそ1)

と、思いながら慎重に外してみるとBB本体側のスレッド(ネジ山)が、変な削れ方をしている。
予感的中。

フレーム側のスレッドは…

これも嫌な予感。(嫌な予感その2)

そもそもこいつ、BBフェイシングしてねーなと。
塗装が割れないように”面”をヤスリかけたただけだなと。

見る人が見れば分かります。

まず、BBのフェイシングとはフレーム側のボトムブラケットシェル(BBが装着される場所)を専用のカッターで切削し、締め込んだ時にBBとBBシェルの”面”と”面”を真っ直ぐ当てる為に必須な作業。

まずこれが行われていない時点でNG

そしてこれ…


今回はBB交換もある作業なので、ちょっとリスキーではあったけど、確認の為外したBBを素直に戻してみる。分かりづらいので、少し大袈裟に赤線引いていますが、シェル側まで締め込んでいくとこんな感じ。

フレーム側のBBシェルにBBが真っ直ぐ入っていません。上と下で隙間が違うのが確認できました。

考えられる原因は?
1・BB本体はBBシェルのスレッドに沿って真っ直ぐ入っているが、フェーシングをしていない事によって、BBシェルの”面”がまっすぐではない。

2・BB本体事態が真っ直ぐ入っていない。シェル側のスレッドに正しく沿って取り付けられていない。

3・そもそもBBシェル側のスレッドがズレている(歪んでいる)。

大きく分けてこの3点が考えらる。

1の場合はBB本体自体はBBシェルに真っ直ぐ入っていくが、最後の増し締めの時にシェルの“面”に沿って歪みが起こる事がある。(上部、下部等で隙間ができる)
が、この写真の場合、増し締めはしていないのでそもそもBBが真っ直ぐ入っていない。と言うことが考えられます。

2の場合、今回の案件はこれが原因ではないかと言うことがまず考えられた。
話を戻し最初に載せた写真をもう一度。

左のBB本体の写真。嫌な予感その1。
スレッド部の上半分ほどが白く、下半分は黒い。これがどう言う事なのかというと、単純に白い部分は削れている、黒い部分は削れていない、と言うことになります。

通常正しく装着されたBBは多少はスレッド部か削れる(塗装が禿げる程度)モノですが、写真のようにはなりません。
と言う事でBBシェルのスレッドに沿ってにBB本体が真っ直ぐ入っていなかった、組み付けの際にBB本体をBBシェルに対して歪んだ状態で無理くり締めていった。と言うことになります。

3の場合、今回BB本体がこのような状態だったので、写真右、フェーシングはされていないものの、BBシェル自体のスレッドは問題ないだろうと思っていました。
が、そうでもなかった。

試しにこの状態で新しいBBを装着しようとしてみたところ、嫌な予感その2、BBシェルのスレッド入り口の時点でBB本体と噛み合わない。噛み合わそうとするとBB本体が歪む。

「なるほどね。」と。

BBシェル側、特に入り口付近のスレッドが立っていないのかと。
正直、フレームのみを新品で購入し自転車を組む場合、マスプロだろうと、ハンドメイドフレームだろうとBBシェルの入り口のスレッドが立っていない事はよくあります。

なので当たり前のように、これも専用工具を用いてネジ山の立て直し、タッピングと言う作業をしてスレッド立て直す必要があるのです。

この作業をしないと今回のようにBBが真っ直ぐ入らない、入ったとしてもネジ山が噛み合わなくなり、BBが外れない。

そして最悪なのが無理矢理締め込んでいくとBBシェル自体のネジ山を潰し、フレーム自体使用不可になることも。

フェーシングとタッピングの作業。先ほども書いたように、専用工具を用いて作業します。これでBB本体も正しく取り付けができ、自転車の心臓部クランクの性能も最良に引き出せます。

いくら他のパーツで高性能な物を使っても、そもそもクランク、BBが上手く回っていなかったら元もこもありません。

グリスをしっかりと塗布し、これでドライブサイドもノンドライブサイドもスルスルっとピタッと正しくBBが取り付けできました。
CLAMPで販売しているジュニアからのスポーツバイクと呼ばれる自転車は全てこの作業をしています。

フレームから組むバイクはまだしも、クランク、BBが最初から取り付けられている完成車でこの作業をするのは正直手間です。切削工具も消耗品ですし、切削の歯はうん万円。

ただ、ほんとにこの作業をやっているのとやっていないのとでは、後々の整備やバイクのパフォーマンスに大きく影響してくる大切な作業。

もし、ご自身のバイクが心配であればいつでもお持ち込みください。
新年から工賃の見直し、しなきゃかもです。

オーバーホールも合わせて年内納車、今なら可能です。

ぜひご依頼ください。

クランクの動きもスルっとよくなりました。

-jus-

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